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 『シネマ天文楽入門』 
はじめに

→ 『シネマ天文入門』の紹介ページ


 映画を観るのが好きな人は多いだろう.もちろん好きにもいろいろレベルがあって,ぼくみたいにDVDやTVを中心に月に1本ぐらい観るかなぁ,といった好き具合から,映画館に通い詰めて月に何十本も観るようなヘビー具合までさまざまだろうが.でも,映像の力は大きい.実際,文章などと比べると,映像(画像)はきわめて情報量が多く,「百聞は一見にしかず」ともいうように,しばしば非常にインパクトがあるものだ.もちろん製作者の意図(メッセージ)と観る側が受け取る意味(メッセージ)が同じとは限らないが,それはそれで映画の面白みというものだろう.

 さて,映画にも,恋愛をテーマにしたもの,サスペンス,ホラー,思想映画,ドキュメンタリー,そしてSFなど,さまざまなジャンルがあるが,ぼくが比較的よく観るのは,SFとくに宇宙SF映画である.その宇宙SF映画にもいろいろあるが,
 『2001年宇宙の旅』
 〈スター・ウォーズ〉シリーズ
 〈スター・トレック〉シリーズ
などなど,宇宙が舞台となっている名作映画も少なくない.そして,ぼくたちの日常から離れた宇宙が舞台なだけに,その映像的なインパクトの影響はさらに大きい.

 ところで,科学的な立場からすると,映画における宇宙現象の取り扱いは,妥当な場合もあれば,首をかしげる場合もある.正しいときは問題ないが,あきらかに間違っていても,映像シーンは目に焼き付くために,間違ったままの印象が強く残ってしまうだろう.ぼくの公的な立場としては,科学的に誤解を与える映像は困ったモンだ,ということになるのだろうが,私的な立場としては,まぁ,面白ければいいじゃん,という気もする.宇宙SF映画に限らず,少々つじつまがあっていなくても,“面白ければイイ”というのは,エンターテイメントの基本かもしれない.

 しかしながら,一方で,宇宙SF映画を題材にして,天文学的な分析を楽しむこともできるだろう.インパクトのある映像を枕にして,天文学を語ることはできるだろう.そのような立場もまた,映画の楽しみ方の一つだと思う.本書では,天文楽者の目を通して,面白かった宇宙SF映画の紹介をするとともに,宇宙SF映画を天文楽的に楽しんでみたい.

福江 純


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