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献本へ 工学へのアプローチ 量子力学
Approach to Engineering  Quantum Mechanics

在庫マーク

東京理科大学教授 博(理) 山本貴博 著

A5判/208頁/定価2640円(本体2400円+税10%)/2020年11月発行
ISBN 978-4-7853-2270-0  C3042

電子書籍

 本書は、工学へのアプローチを念頭においた量子力学の入門書である。
 量子力学の歴史的な流れにとらわれることなく、早い段階でシュレーディンガー方程式を導入し、その応用例に触れることで、量子力学的な世界観に慣れ親しめるように工夫した。また、量子力学の一般論(数学的枠組み)については、あえて付録にまわすことで、読者の学習スタイルに合わせて本書を使えるようにした。
 さらに、大学における半期の講義を想定して、無闇に対象とする系を広げずに、思い切って「1次元系(いわゆる直線上の運動)」に絞ることにし、必要に応じて2次元系や3次元系への拡張を行うようにした。これによって、数学的な煩雑さを避けながらも、量子力学の基本的な考え方や本質を学べるように構成した。そのため、多くの教科書で中心的に書かれている「水素原子」は思い切って割愛し、一方で、エレクトロニクス分野において重要なテーマとなっている「電気伝導の量子論」の基礎を取り扱うことにした。
 なお例題や章末問題には、工学系の学習者を意識して、具体的に数値を求める問題も含めるようにした。
 本書を通して、量子力学における“多くの新しい疑問や不思議”と出会い、それらを理解・納得することで量子力学的思考を身に付けていただければ幸いである。


サポート情報

まえがき (pdfファイル)   索引 (pdfファイル)
正誤表 (pdfファイル)

目次 (章タイトル)  → 詳細目次

1.ようこそ! 量子の世界へ
2.量子とは何か?
3.シュレーディンガー方程式
4.量子力学における測定
5.束縛電子の量子論
6.散乱電子の量子論
7.周期ポテンシャル中の電子の量子論
8.多粒子系の量子論
9.電気伝導の量子論

詳細目次  『工学へのアプローチ 量子力学』 目次

まえがき (pdfファイル)

1.ようこそ! 量子の世界へ
 1.1 量子力学リテラシーの時代
 1.2 量子力学を納得するということ

2.量子とは何か?
 2.1 電子は何者?
 2.2 ド・ブロイ波長
 2.3 光は何者?
 章末問題

3.シュレーディンガー方程式
 3.1 量子力学の基礎方程式
  3.1.1 波の性質と波動方程式
  3.1.2 シュレーディンガー方程式
  3.1.3 時間に依存しないシュレーディンガー方程式
  3.1.4 物理量を表す演算子
 3.2 波動関数
 3.3 量子力学と古典力学の対応関係
 章末問題

4.量子力学における測定
 4.1 物理量の期待値
 4.2 エーレンフェストの定理
 章末問題

5.束縛電子の量子論
 5.1 束縛状態と散乱状態
 5.2 無限に深い井戸型ポテンシャル
 5.3 1次元の調和振動子ポテンシャル
  5.3.1 調和振動子のエネルギー固有値と波動関数
  5.3.2 調和振動子の波動関数とエルミート多項式
  5.3.3 調和振動子の諸性質
  5.3.4 電磁場の量子化と調和振動子
 章末問題

6.散乱電子の量子論
 6.1 連続の方程式
 6.2 ポテンシャル障壁による反射と透過
 6.3 矩形型ポテンシャル障壁
 6.4 一般的な形状をしたポテンシャル障壁
 6.5 二重ポテンシャル障壁
 章末問題

7.周期ポテンシャル中の電子の量子論
 7.1 ブロッホの定理とブロッホ関数
 7.2 クローニッヒ‐ペニー模型
 7.3 ブロッホ関数の一般的性質
 章末問題

8.多粒子系の量子論
 8.1 フェルミ粒子とボース粒子
 8.2 相互作用しない多粒子系
  8.2.1 ボース粒子の波動関数
  8.2.2 フェルミ粒子の波動関数
  8.2.3 パウリの排他律
  8.2.4 スピン
 8.3 自由電子フェルミ気体
  8.3.1 自由電子フェルミ気体の電子状態
  8.3.2 状態数と状態密度
  8.3.3 フェルミ波数とフェルミエネルギー
 章末問題

9.電気伝導の量子論
 9.1 金属の電気伝導
  9.1.1 電流の定義
  9.1.2 オームの法則
 9.2 バンド理論による金属と絶縁体の分類
  9.2.1 金属(電子がバンドを部分的に埋めている場合)
  9.2.2 絶縁体(電子がバンドを完全に埋め尽くしている場合)
 9.3 メソスコピック系の電気伝導
  9.3.1 ランダウアー理論
  9.3.2 ランダウアー公式とコンダクタンス量子
  9.3.3 波動関数の非干渉性とオームの法則
  9.3.4 バリスティック伝導から拡散伝導への遷移
  9.3.5 波動関数の干渉性とアンダーソン局在
 章末問題

付 録
 A.量子力学の一般論
  A.1 波動関数の連続性
  A.2 物理量とエルミート演算子
   A.2.1 エルミート演算子
   A.2.2 固有値と固有関数
  A.3 交換関係
  A.4 不確定性原理
   A.4.1 物理量の測定値の不確定さ
   A.4.2 不確定性原理
 B.フェルミ‐ディラック分布関数

問題解答
索引 (pdfファイル)

著作者紹介

山本 貴博
やまもと たかひろ 
1975年 大分県に生まれる。東京理科大学理学部第一部卒業、東京理科大学大学院理学研究科博士課程修了。東京理科大学助手・助教・講師・准教授を経て現職。主な著書に『ナノ・マイクロスケール熱物性ハンドブック』(分担執筆、養賢堂)、『次世代熱電変換材料・モジュールの開発』(分担執筆、シーエムシー出版)などがある。

(情報は初版刊行時のものから一部修正しています)


この著作者の本
『基礎からの 量子力学』
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『基礎からの 物理学』
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