シンクロトロン放射光(Synchrotron Radiation)


シンクロトロン放射光
ほぼ光速で飛んできた電子()などの荷電粒子が, 磁力線(−−) のまわりで螺旋(らせん)運動するときに, 強い光()が放射されます. これを シンクロトロン放射光(synchrotron radiation)とか SOR(synchrotron orbital radiation) と呼びます.
シンクロトロン放射光は,赤外線からX線までの広い波長をもつビーム状の光です. 従来のX線発生装置から得られる光に比べて, 1億倍以上も明るい光です.
大型放射光施設
シンクロトロン放射光を発生させるためには, 電子ビームを光速近くまで加速する大規模な粒子加速器が必要です. そのため,約60億電子ボルト以上まで電子ビームを加速できる 大型放射光施設は, 兵庫県にあるSPring-8(Super Photon ring-8 GeV) を含め, 世界に3ヶ所しかありません.

左:SPring-8の全望

SPring-8 (Super Photon ring-8GeV)

SPring-8 日本が世界に誇るSPring-8は,1997年に 播磨科学公園都市に完成しました. 本体は周囲の長さが1436mもの巨大な加速器で, 加速器の性能を生かした大規模な素粒子実験はもちろんのこと, その放射光を用いて医療用や検査用などさまざまな用途に使われています.
ちなみに,SPring-8の名前は,スーパー光子リングの意味で, 8は
8GeV(80億電子ボルト) まで加速できることを表しています.
施設の概要 SPring-8全体は,大きく4つのパートからできています. 電子ビームは,(1)線型加速器で発生・初期加速され, (2)シンクロトロンへ送られてさらに加速され, (3)蓄積リングに蓄えられて, 周囲に配置された (4)実験ビームラインに放射光が取り出されます.
各パートの詳細
蓄積リング 蓄積リングには,電子ビームを操作する何種類もの装置が付けられています. 電子ビームを少し曲げて同時に放射光を発生する偏向電磁石, 電子ビームを絞る収束電磁石, 電子ビームを加速する高周波加速装置, そして電子ビームから強い特定波長の放射光を発生する アンジュレータなどがあります.
各パートの詳細 (avi file 6.6MB)
利用と運営 SPring-8の放射光は, 物質科学・地球科学・生命科学・医学など, さまざまな分野の研究に利用されています.
最新のビームラインの配置図

SPring-8は共同利用施設として科学技術庁が企画し, 日本原子力研究所と理化学研究所が共同で建設して, 現在は,財団法人 高輝度光科学研究センターが運営に当たっています.

資料提供:財団法人 高輝度光科学研究センター

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