望遠鏡の概要 (Telescope)

天体望遠鏡(astronomical telescope)は天体の光を集めるための器械です. はるか宇宙の彼方から旅してきた光は, 望遠鏡の焦点に集められて, そこに天体の像を結びます. その天体像を接眼鏡を通してみたり, 受光装置で記録して調べることによって, 宇宙の姿を垣間見ることができるのです.

望遠鏡全体の構成

一般的な望遠鏡は, 光を集める主鏡 (primary mirror)を収めた鏡筒(body)と, 鏡筒を支える架台 (mount)からできています. 主鏡としてレンズを使うか反射鏡を使うかによって, 望遠鏡は屈折望遠鏡と反射望遠鏡の2つのタイプに大別され, また主鏡で集めた光の導き方によって, さまざまな焦点があります. 架台の方も,天体の追尾の仕方によって, 赤道儀式と経緯台式の2つのタイプに大きく分かれ, さらに支え方によってさまざまな架台があります.

資料提供:三鷹光器株式会社

屈折式と反射式

天体望遠鏡は,凸レンズを用いて光を集める屈折式(refractor)と, 凹面鏡を用いて光を集める反射式(reflector)の2種類に, 大きく分けられます. 大きなレンズを作成し保持するのは大変難しいので, 屈折望遠鏡の大きさの限界は口径1mくらいまでといわれています. したがって大きな口径の望遠鏡は,すべて反射望遠鏡になっています.

赤道儀と経緯台

地球が自転しているために,天体は日周運動(1時間に15°)を行います. したがって,地上から天体を観測する時には, 望遠鏡は天体を追いかける必要があります(これを追尾 (guide)といいます).
望遠鏡を乗せて天体を追いかける器械(架台)には, 赤道儀式経緯台式の2種類があります. 赤道儀式では,地球の自転軸に平行な軸(極軸)と それに直交する軸(赤緯軸)のまわりを動くようになっていて, 極軸を回転させることによって天体の日周運動を追尾します. また極軸と赤緯軸を駆動することにより, 空のあらゆる方向へ望遠鏡を向けることができます. 経緯台式では, 鉛直方向の軸と水平方向の軸のまわりに動くようになっています.
後者の経緯台式の方が,天体を追尾するのは複雑になりますが, 鉛直軸と水平軸で支えるので機械的には安定です. 天体の追尾はコンピュータで制御できるようになったので, 最近の大口径望遠鏡では,安定な経緯台がよく使われています.


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