ラジオ (Radio)
<体験版>



振幅変調 AM

周波数変調 FM


左から:
ラジカセ(ラジオ付きカセットレコーダ),
時計付ラジオ,
ラジオ付時計,
ポケットラジオ,
最近のラジオ付きMD/CDシステム,
緊急用の電灯(ハンドライト付ラジオ)

緊急用の電灯
ハンドライト付ラジオ

(2000/06 福江 純 撮影)

マクスウェル(J.C. Maxwell)が予言し ヘルツ(H.R. Hertz)が実証した電波がはじめて利用されたのは, 電波で情報を伝達する無線通信(wireless communication)です. 一般的には,無線通信システムを発明したのは, 1901年にイギリスからカナダのニューファンドランドまで, モールス信号のSを送信したマルコーニ(G. Marconi)だと言われています. しかし実際には同時期に何人かの人が成功していて, 中でもニコラ・テスラ(Nikola Tesla)はもっとも進んでおり, 1897年にはすでに無線システムの基本特許も得ていました. テスラの業績は,彼の死後やっと認められ, 無線通信の基本特許に関してもテスラの特許が優先するという判決も下り, テスラが無線通信の真の発明者と認められました.

無線通信は,当初,電線を張ることができない船舶との通信に用いられていました. そして,一部の好事家が,送受信機を購入して無線通信を楽しむ 「アマチュア無線」が盛んになります. とくに,海難事故の通報でアマチュア無線の活躍が報じられるようになると, 米国を中心にかなりの人気を集めるようになります.
これらは双方向の通信を楽しむものでしたが, 送れる信号の量が増え,音声が送れるようになると, 広く情報を流布する手段として注目を集めるようになりました. 特定の人(放送局)から不特定の人(一般聴取者)に向けて, 一方通行の通信をするわけです. これがラジオ放送の始まりです. 1920年に米国のKDKAが放送したのが, 世界最初の商業ラジオ放送とされています.

無線通信の社会生活への具体的な応用が, ラジオ(radio)です. 日本では,1926年(大正14年)に日本放送協会NHKが発足し, 東京と大阪を皮切りに全国に広くネットワークを形成していきました. 放送産業としてラジオ産業が活発になったのは戦後になってからで, 1951年に名古屋と東京で民間放送が開局し, 1956年ごろからはトランジスタラジオの普及も始まりました.
ちなみに,日本語では, 電波とラジオは違う言葉のようですが, 英語ではどちらもradioで, もとは同じものであったことが明らかです.

ラジオで信号を送信する方法には,主に, 振幅変調いわゆるAM(amplitude modulation)と, 周波数変調いわゆるFM(frequency modulation)があります. どちらも信号波を搬送波に乗せて送るのですが, AMでは信号波の波形にしたがって搬送波の 振幅 を変形し, FMでは信号波の波形にしたがって搬送波の 周波数 を変形します.
手元のMD/CDシステムのスペックでは,
AM: 535-1620 kHz
ループアンテナ
FM: 76.0-108.0 MHz
ロッドアンテナ
となっています.

一昔前の科学少年は, 必ずといっていいほど, 鉱石ラジオを自分で組み立てたものです. またラジオの深夜番組を聴きながら, 勉強したり本を読んだり, 夜更かしした覚えのある人は少なくないでしょう. テレビやインターネットなど, 他の放送メディアの普及によって, いまではラジオを聴く機会はめっきり減りました. にもかかわらず,家の中にあるラジオの数を数えたら, コンポなどに付属しているものも含めて10個を超えました.


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