M87(おとめ座A/Vir A)
<体験版>

可視光で見たおとめ座A

おとめ座A(M87)
おとめ座/楕円銀河(E0)
赤経(J2000) 12h30.8m
赤緯(J2000) +12°24′
B等級 9.6等
視直径 7′×7′
距離 5900万光年

資料提供:大阪教育大学

M87(メシエ87)/おとめ座Aは,おとめ座にある巨大楕円銀河です. 写真で眺めているとありきたりの楕円銀河のようですが, さまざまな特徴から普通の楕円銀河でないことがわかります.

まずM87は強い電波を放っています. 電波観測の分解能が悪い頃には, おとめ座の領域に強い電波源があることしかわからず, 「おとめ座A」と呼ばれていましたが, 電波干渉計などによって,正確な位置がわかると, それは楕円銀河M87であることがわかりました.

また可視光では,今世紀の初頭から, M87には光の矢−ジェットが存在していることが知られていましたが, 電波天文学や光学天文学の発達によってジェットの詳細な画像が得られ, ジェットがM87のごく中心部から吹き出していることが判明しました.

さらにM87は,いわゆるおとめ座銀河団と呼ばれる銀河集団の中心に位置しており, 多数の銀河が衝突合体して,今日の巨大なM87が形成されたのだと考えられています.


おとめ座Aジェットの電波像

M87は口径20cm程度の小型望遠鏡でも見ることのできる銀河で, 口径50cmぐらいの中口径望遠鏡を用いると, 中心部から吹き出しているジェットを撮像することもできます.

左上に示した図は,M87/おとめ座A全体の電波像で, 電波が出ているところの横の長さはおよそ4秒角です. 右下の図は,M87/おとめ座Aの中心部を, 電波天文衛星はるか が1.6GHzの電波で観測した画像です. このジェットの中心付近を はるか の高分解能で観測した結果, ジェットはまっすぐに伸びているのではなく, 波打つような形をしていることがわかりました. 波形の間隔はおよそ4ミリ秒角すなわち0.004秒角で, M87の距離だと約1光年に相当します.

資料提供:M. Reid(ハーヴァード・スミソニアン天体物理センター),藤沢健太(国立天文台)/VSOP HPより


通常銀河へ
Go to Submenu
Go to Menu



         

自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.