裳華房のtwitterをフォローする

裳華房 今月の話題

「DNA二重らせん構造の発見」50周年と
ヒトゲノム解読完了

(2003.4.18)

 遺伝子の本体(遺伝情報の担い手)DNAが二重らせん構造をなすことは,今から50年前の雑誌『Nature』1953年4月25日号にて発表されました.
 この号でJ.D.ワトソンとF.H.C.クリックは,DNAの基本構造モデルを理論的かつ簡潔に記しました.また重要なことは,彼らの論文の後ろに,M.H.F.ウィルキンスらによるDNAのX線回折像を示す論文が掲載され,このモデルを指示する根拠が提示されたことでした.
 これら一連の研究で,ワトソン,クリック,ウィルキンスは,1962年度ノーベル生理学・医学賞を受賞しています.

  natureJAPANホームページ

○WEBフォーカス「二重螺旋の発見から半世紀
1953年に発表された原著論文のダウンロード

 二重らせん構造モデル発表後の生物学は,DNAを根幹において発展してきました.この生物学上の重要な転換点から50周年を記念して,今年はさまざまな雑誌で,特集などが組まれています.

  ◆DNA二重らせん構造モデルに関する雑誌の特集など

○隔月刊誌 生物の科学 遺伝』 2003年5月号(57巻3号)裳華房【4月24日発売】
DNA二重らせん構造モデルの発表から50年によせて
 (1)ワトソンとクリックの洞察とDNAへの深い思い(廣川秀夫)
 (2)「DNA二重らせん構造モデル」の高校教育への導入をめぐって(梅埜國夫)

○月刊誌 日経サイエンス』 2003年5月号日本経済新聞社
ジェームズ・ワトソンに聞く DNAの50年(編集部 訳)
問われる新たな「知の展開」(中村桂子)

○月刊誌 科学』 2003年2月号岩波書店
・巻頭言「次の50年も主役はDNA?」(中村桂子)
・特集1「二重らせん発見50周年
   対談・時代の証言

○月刊誌 蛋白質 核酸 酵素』 2003年4月号共立出版
・特集「DNA二重らせん構造の半世紀(1)」(本誌編集委員会 編集)
   エッセイ集

○月刊誌 蛋白質 核酸 酵素』 2003年5月号共立出版【4月22日発売】
・特集「DNA二重らせん構造の半世紀(2)」(本誌編集委員会 編集)
   エッセイ集とレビュー

 また,この記念すべき年である2003年の4月14日,ヒトの遺伝情報を解読する目的で1991年に始まった国際プロジェクト「ヒトゲノム計画」の完了が宣言されました.

  ◆「ヒトゲノム解読完了宣言」をめぐるニュース

ヒトの設計図」解読完了を宣言 日米英など6カ国」(朝日新聞 2003/4/14)
ヒトゲノム解読完了、国際チームが宣言(読売新聞 2003/4/15)
ヒトゲノム解読完了 予定より2年早く−日本など6カ国参加」(毎日新聞 2003/4/15)
ヒトゲノムを完全解読(産経新聞 2003/4/14)
国際チーム、ヒトゲノムを完全解読 (日本経済新聞 2003/4/15)

理化学研究所 ゲノム構造情報グループによるプレスリリース

  ◆ヒトゲノム解読完了に関する雑誌の特集

○月刊誌 科学』 2003年4月号(岩波書店)
・特集「ヒトゲノム解読完了,その先は?」
   これからどうなるのか/ヒトゲノムプロジェクト/ポストゲノムシークエンス/対談/インタビュー/コラム/etc.

  ヒトゲノム解読完了・DNA二重らせん発見50周年記念
  事業実行委員会による事業

○「ヒトゲノム解読完了・DNA二重らせん発見50周年記念特別展示」
  日本科学未来館5F「生命の科学と人間」展示コーナー
  4月16日(水)〜21日(月)

○ヒトゲノム全解読記念国際シンポジウム
  日本科学未来館みらいCANホール
  4月18日(金)

記念講演会「遺伝子・DNA・ゲノム−50年で分かったこと」
  日本科学未来館みらいCANホール
  4月19日(土)

展示の前で研究者に会おう! 「ヒトゲノム研究とゲノム科学がもたらすこと」
  日本科学未来館 みらいCANホール
  4月20日(日)

  英国と日本の科学者が集う「DNA50周年記念フォーラム」
   「ゲノム革命、我々はどこへ向うのか。」


    東京大学安田講堂
    5月15日(木) 2時30分開演
    参加無料,同時通訳付き

 今後は,決定された配列情報を用いて,テーラーメード医療をはじめさまざまな方面での研究が,ますます進展することでしょう.
(参考:裳華房「今月の話題」(2月) 30万人の遺伝情報分析



         

自然科学書出版 裳華房 SHOKABO Co., Ltd.