重力レンズ天体 PG1115+080

しし座にある重力レンズ天体 PG1115+080です. 左上は,すばる望遠鏡に取り付けたSuprime-Cam(可視光広視野カメラ)による画像, 右上は,CISCO(近赤外線カメラ)による画像です. 約100億光年かなたにあるクェーサーが, 約30億光年の距離にある銀河のちょうど真後ろに位置しているため, 重力レンズによる像となって見えています.

左のパネルは可視光と赤外線の画像を合成したもので, 中心にある赤っぽい銀河(より手前の銀河)がレンズの役目をしており, その周囲に重力レンズ効果で分裂した4個のクェーサー像が見えています. すばる望遠鏡の高分解能(この画像では0.33秒角)によって, 4個に分かれたクェーサー像がきれいに分離できています.
右のパネルは広がった淡い光を強調したもので,淡い光はリング状に分布しています. 並び方によっては,重力レンズ効果によってこのようなリングも観測されます. 重力レンズによって結像した像の位置や強度から, 宇宙膨張の速度を決めたり,宇宙が今後永久に膨張を続けるのか, あるいは膨張速度が遅くなって収縮に転じるのかどうかを研究することができます.

PG1115+080のアニメーション

資料提供:国立天文台 ハワイ観測所,米原厚憲(筑波大学)


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