禁制線と再結合線
(Forbidden Line and Recombination Line)


図の上で括弧[ ]でかこまれたイオンの名前がありますが, それらは禁制線と呼ばれる特殊な線を表しています. 水素のバルマー系列の線は再結合線(recombination line)と呼ばれています.

星雲の中のガスはこの紫外線を受けて電離し,イオンになっています. 原子から離れた電子は,再び原子と結合して基底状態に戻りますが, その途中で高いエネルギー準位から低い準位へと,順に落ちていきます. そのときに放射される光が輝線として観測されます. それが再結合線です.

一方,波長495.9nmや500.7nmに見られる強い輝線は,OIIIの禁制線です. 星からの紫外線で2階電離した酸素イオンの基底準位にある電子が, 星雲の中の自由電子と衝突して準安定状態と呼ばれる準位へと励起されます. この準位からもとの準位へ光を放射して戻る確率は極めて低く, 地上の実験室などでは衝突によって戻ってしまいます. ところが,星雲の中は密度が極端に低いので,衝突の頻度が低く, 光を放射することになります.これが禁制線(forbidden line)です. このような禁制線が見えるということは, ガスの密度が非常に低いことを意味しています.


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