星雲 (Nebula)

双眼鏡や望遠鏡で夜空を見ると,星とは違って, ぼやっと雲のように広がって見える天体があります. これは,星雲(nebula)と呼ばれています. 星雲は,暗黒星雲,散光星雲,惑星状星雲,超新星残骸に分けることができます.

星間空間にはガスや塵が含まれています. 太陽系から見て,比較的濃い分子ガスの塊の向こう側に多数の恒星があったり, 輝線星雲などの星雲があると, それらを背景にして, 分子ガスの塊が影絵として浮かび上がって見えることがあります. これが暗黒星雲(dark nebula)です.

散光星雲は,電離ガスが放つ輝線だけで光っている輝線星雲(電離水素領域)と, 明るい星の光が分子雲で反射して見える反射星雲とに分けられます. 撮像画像では見分けるのは難しいですが,スペクトルを調べると, その違いがわかります. 輝線星雲では輝線が観測されますが, 反射星雲は恒星の光が反射して見えるので,恒星とほぼ同じ, 連続スペクトルが観測されます.

惑星状星雲(planetary nebula)は,星の最後の姿です. 質量が太陽の4倍より軽い星は,赤色巨星に進化した後, ヘリウム核融合によって生成された炭素や酸素が中心部にたまると, 星自体が膨らみ,外層大気が星間空間に流出します. これが惑星状星雲で,中心には白色矮星ができます.

アリ星雲(Menzel3)
わし座のNGC6751
惑星状星雲の中心には,老いて死にゆく星があり, そこからガスが噴出する様子が見えています.  Copyright (NASA/HST)

また太陽よりも数倍以上重い星は,できてから数百万年も経つと, 中心部の核融合反応が暴走して爆発します. これを超新星爆発(supernova explosion)といいます. その爆発はすさまじく, 太陽が100億年かかって放出するエネルギーに匹敵する量のエネルギーを, ほんの数日で放出します. このため,周囲の星間ガスに爆発の衝撃が伝わり, ガスや磁場が掃き集められたものが,超新星残骸(supernova remnant; SNR)です.


体験版では,「干潟星雲」「かに星雲」がご覧になれます.
 
暗黒星雲
馬頭星雲
散光星雲
干潟星雲
NGC6188
オリオン星雲
ハッブル変光星雲
惑星状星雲
エスキモー星雲
リング星雲
キャッツアイ星雲
たまご星雲
NGC7027
 
超新星残骸
かに星雲


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