かに星雲 M1 (Crab Nebula M1)

1054年に爆発の光が観測された超新星の残骸で, 当時の輝星の記録は西洋以外は世界のあちこちの古文書に残されています. メシエ天体の筆頭登録天体でM1とも呼ばれますが, メシエ天体では唯一の超新星残骸です. かに星雲の中心にはパルサーが存在し, パルサーから供給されるエネルギーでいまでも光っています.
星雲名 M1/NGC1952
赤道座標(2000年分点)
赤経:05h34m 赤緯:+22 °01′
視直径5′
距離7200光年

資料提供:国立天文台 ハワイ観測所

M1の可視光スペクトル

ぐんま天文台のGCS(小型低分散分光器)で観測した, かに星雲M1の可視光スペクトルです. 上のスペクトル画像は,横方向が波長,縦が空間方向を表し, 下のグラフは,横方向が波長,縦が光の強さを表しています.

かに星雲は約1200km/sという速さで膨張しているため, スペクトル画像上では,輝線がドップラー効果によって円弧状に曲がり, 反対側に膨脹する成分も見えています. また,吹き飛んでいる物質は場所ごとに違いがあり, 輝線の強さも場所ごとにずいぶんと異っています. なお,水平方向の直線状のスペクトルは,スリットに重なった星のものです. 一方,下のグラフの中の[OIII]や[NII]や[SII]は, 酸素や窒素やイオウの禁制線と呼ばれる特殊なスペクトル線で, 非常に希薄なガスから放射される特徴的なスペクトル線です. これは典型的なガス星雲のスペクトルです.

禁制線と再結合線

資料提供:河北秀世,衣笠健三(群馬県立ぐんま天文台)


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