干潟星雲 (M8)

星雲名 M8/NGC6523
赤道座標(2000年分点)
赤経:18h03m 赤緯:-24 °23′
視直径25′
距離3900光年

干潟星雲(M8)は,いて座の天の川の中にある散光星雲です. 距離は,太陽から約4200光年で,大きさは30光年です.

M8はM20とともに, 銀河系のいて座渦状肢に属していると考えられます. 銀河の腕には多数の星が分布していますが,星間ガスが圧縮されて分子雲となり, 星の形成が活発に行われています. このため多くの散光星雲が銀河系の腕に沿って並んでいます. 中心部には,生まれたての若くて熱い星の集団NGC6530があり, この星雲を光らせる源となっています. NGC6530の年齢は,わずか200万年です. その中心部にある非常に明るい星,ハーシェル36はとくに若く, 誕生してからまだ1万年しか経っていません.

M8の背後にはさらに広がった分子雲があり, その分子雲によってまわりの星が隠されてしまっています. M8の周辺の星が少ないのはそのためです. またM8の領域には,黒いつぶつぶが見えますが, これらは現在収縮しつつあるガスの塊で (発見者の名前を取ってボク胞子と呼ばれています), 将来は小さな星がそこから誕生すると考えられています.

資料提供:東京大学 木曽観測所

プリズムで撮影した干潟星雲

チリのセロ・トロロ天文台(Cerro Tololo Inter-American Observatory) の60cmシュミット望遠鏡に対物プリズムをつけて観測した干潟星雲です.

縦の線は,それぞれの星のスペクトルです. スペクトルの上下の幅はHα線を中心として90nmあり, 上が長波長側,下が短波長側を示しています. 星は,連続的なスペクトルを放出するので, このような画像では縦線に見えていますが, 星雲は上下に伸びずにそのままの形で明るく輝いています. これは,星雲のスペクトルは連続スペクトルではなく, 輝線スペクトルを出しているためで, ある特定の波長の光だけが輝いて見えているからです.

資料提供:小倉勝男(國學院大学),坂元 誠(西はりま天文台), 有本淳一(京都市立塔南高等学校)


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