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裳華房メールマガジン (Shokabo-News)
バックナンバー(No.308;2015年2月号)

禁無断転載 ※価格表記は配信当時のままです。
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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆   Shokabo-News No.308                2015/2/6   裳華房メールマガジン 2015年2月号   https://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ★目次★ ─────────────────────────────────── 【1】新刊案内 『曲線と曲面(改訂版)』『動物の生態』 【2】「裳華房 東京開業120周年」Webページの開設 【3】[連載コラム]鹿野司の“読書ノート” 【4】[連載コラム]裳華房 編集子の“私の本棚” 【5】[連載コラム]裳華房の“古書”探訪 【6】お知らせ&編集後記 ─────────────────────────────────── ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】新刊案内(2月刊行) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●『曲線と曲面(改訂版)−微分幾何的アプローチ−』 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-1563-4.htm 梅原雅顕・山田光太郎 共著/A5判/308頁/定価(本体2900円+税) 2015年2月下旬刊/裳華房/ISBN978-4-7853-1563-4  微分積分と線形代数を学んだばかりの読者を対象に,曲線や曲面のもつ様々 な性質について,曲面論から多様体論への橋渡しとして重要な「ガウス-ボン ネの定理」までを無理なく理解できるように解説.改訂版では,旧版の特徴は そのままに,より丁寧な本文の記述と解説に改めるとともに,下記のようない くつかの項目を加筆または追加し,節末問題も増やしました. 【改訂版で加筆・追加された項目】 ・ 曲面論の基本定理とその証明 ・ 極小曲面の具体例 ・ 曲面の測地的曲率 ・ ガウス曲率が負で一定の回転面の分類 ・ ポアンカレ-ホップの指数定理と曲面の臍点との関係  ・ 曲線と曲面に現れる代表的な特異点とその判定法 【主要目次】1.曲線 2.曲面 3.多様体論的立場からの曲面論 付録A:本 文の補足 付録B:曲線・曲面からの進んだ話題 ●『新・生命科学シリーズ 動物の生態 −脊椎動物の進化生態を中心に−』 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/ISBN978-4-7853-5862-4.htm 松本忠夫 著/A5判/196頁/定価(本体2400円+税)/2015年2月下旬刊 裳華房/ISBN978-4-7853-5862-4  動物の“生態”=“個体や集団レベルにおける生きざま”をできるだけわか り易く説明した入門書.脊椎動物および,著者の長年研究対象としてきた昆虫 類を中心に,「進化生態」「無機的環境」「生物間関係」「適応放散」などを キーワードに据えて解説しました. 【主要目次】1.動物の特徴,生物進化史における位置 2.脊椎動物の生活と その進化 3.無機的環境に対する適応 4.食物獲得 5.繁殖生態 6.個体 間の関係 7.種間関係 8.社会性の進化 9.適応放散と地理的分布 10. 人間と動物の関係 【著者の松本先生より】 本書は、おもな記述内容を脊椎動物の生態に当てて、その進化や成り立ちの論 理をできるだけ分かり易く解説しました。この分野における最近の研究動向を できるだけ踏まえたつもりですので、大学の教養教育における探究心の旺盛な 若者、広く生命科学分野での活躍を志す若い研究者に、そして新しい進化生態 学に関心を持たれている他分野の方々などにも、親しく読んでいただきたく思 っています。そのために本書の随所で、私の海外調査時に見た動物たちの非常 に印象的な生き様、また特異的な姿であるがその進化の動因を理解しやすい動 物を取り上げ工夫しました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【裳華房 新刊一覧】 https://www.shokabo.co.jp/book_news.html 【ご購入のご案内】  https://www.shokabo.co.jp/order.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】「裳華房 東京開業120周年」Webページの開設 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  裳華房は今月,東京開業120周年を迎えます.  江戸時代から明治にかけて,仙台で出版業を営んでいた裳華房は,明治半ば に東京へ移転し,明治28年(1895年)2月11日に合名会社を設立しました.  裳華房Webサイト内に「東京開業120周年」のページを設けました.120周年 記念事業などについてご案内していきます(内容は今後充実させていきます).  https://www.shokabo.co.jp/120th_anniversary.html 【東京開業120周年記念事業】(予定) ◆ 記念出版物の刊行  ◇ 佐武一郎 著『数学選書1 線型代数学』の新装版刊行  ◇ 原島 鮮 著『高校課程 物理学(全訂版)』上下巻のオンデマンド出版 ◆ 新刊を中心にした 電子書籍の配信 ◆ 記念フェアの開催 ◆ 読者プレゼント(春〜夏頃実施) ◆ 三つ折リーフレット「サイエンスの扉」の作成 ◆ その他 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】[連載コラム]鹿野司の“読書ノート” (第16回) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ノンフィクション・ライター/サイエンスライターの松浦晋也さんと鹿野司 さんに,お薦め書籍や思い出の1冊,新刊レビュー等をご執筆いただきます. 今月号のご担当は鹿野司さんです.  ・バックナンバーはこちら→ https://www.shokabo.co.jp/column/ ─────────────────────────────────── ◆ 作品中に含まれた天文学の断片を専門家の立場から読み解く ◆ ● 半田利弘 著『宇宙戦艦ヤマト2199でわかる天文学』(誠文堂新光社)  1974年に初放送された『宇宙戦艦ヤマト』は日本のアニメ史上、独特の位置 を占める作品だ。おそらく、このメルマガを読んでいただいている読者にも、 ヤマトの物語や、あのテーマソングなどを、懐かしく思い出すかたがたくさん いらっしゃるだろうと思う。私にとっても、『宇宙戦艦ヤマト』は青年時代に 夢中になった、忘れがたい作品の一つだ。  これ以前のアニメは、どちらかといえば低年齢の子ども向けのものと考えら れていた。  しかし、『ヤマト』は、本格的なSF世界を舞台に、戦争と複雑な人間ドラ マを描いて、青年層を含む幅広い世代にアニメファンがいることをはじめて世 に示すことに成功した。今や世界に広がった、コミケなどに象徴されるおたく ムーブメントも、この作品が起爆剤となって黎明期の躍進を遂げたといえるだ ろう。  その『ヤマト』が、『宇宙戦艦ヤマト2199』として出渕裕監督のもとでリメ イクされた。手前味噌ながら、私はそのSF考証を担当し、科学考証を受け持 っていただいたのが、今回取り上げる『宇宙戦艦ヤマト2199でわかる天文学』 の著者で、電波天文学が御専門の鹿児島大学の半田利弘教授だった。  『宇宙戦艦ヤマト』は、地球から大マゼラン星雲までの壮大な旅の物語で、 太陽系の諸惑星を含む様々な天体が舞台となっている。また、原作から40年の 間に、天文学を含む科学も大きく進歩した。そこで、シナリオ段階から、作家 のイメージを優先しながら、できる限り現代の科学の成果を盛り込むことで、 作品のリアリティに厚みをつけることが、私の受け持つSF考証の役割だった。 そして、半田さんには、定性的なレベルの私の考証を、より現実に近い形にな るよう校正していただいた。  たとえばヘリオポーズ[*1]に達して、太陽圏を離れようとするヤマトのク ルー(乗組員)たちに、ガミラスの攻撃によって汚染され赤く変貌する以前の、 青い地球の姿を見せたいと、脚本家の大野木さんから相談があった。そこで私 は、もしそれだけの解像度の望遠鏡をつくるとしたら、光学的なVLBI[*2]し かないだろうと提案を行った。セリフとしては細かい説明のない、たった一言 に過ぎないのだけれど、その背後には、現実の科学の外延としてのSFの裏付 けがある。こういう仕掛けが『ヤマト2199』には随所に盛り込んである。  本書は、その劇中に含まれた多くの現実の天文学の断片を、専門家の立場か ら読み解き復元して、フィクションと現実を区別して、わかりやすく解説した ものだ。太陽系の惑星から外縁体EKBO(エッジワース-カイパーベルト天体)、 系外惑星、ハビタブルゾーンなどなど、近年解き明かされつつ天文学の興味深 い話題が語られている。また、たとえばヤマトの使った光学VLBIを現実につく るとしたら、実際どの程度の規模になるかという考察も本書で為されている。  『ヤマト2199』をご覧になった方なら、あのセリフの背景には、こんな科学 的事実があったのかと興味を持っていただけるだろうし、本書を読んで天文学 の最新のトピックの数々に触れた方が、作中ではどう表現されていたかという 興味も含めて、『宇宙戦艦ヤマト2199』をご覧になっていただけたとしたら、 それもまた嬉しいと思う。 【編集部注】 *1 太陽風(太陽からのプラズマの流れ)は,遠く海王星を越えて外側へと拡  がっていきますが,やがて星間空間起源のガスや磁場に遮られてしまいます.  その境界のことをヘリオポーズといいます. *2 はるか遠くから放射される電波を複数のアンテナで同時に受信し,その到  達時刻の差を精密に計測する技術がVLBI(超長基線電波干渉法)です. 【今回紹介した書籍】 ● 『イスカンダルへの航海で明かされる宇宙のしくみ    宇宙戦艦ヤマト2199でわかる天文学』 半田利弘 著/四六判/192頁/価格(本体1400円+税)/2014年12月発行 誠文堂新光社/ISBN 978-4-416-11478-0 http://www.seibundo-shinkosha.net/pickup/yamato2199/ http://www.seibundo-shinkosha.net/products/detail.php?product_id=4414 【鹿野 司さんのプロフィール】 サイエンスライター.1959年愛知県出身.「SFマガジン」等でコラムを連載中. 主著に『サはサイエンスのサ』(早川書房),『巨大ロボット誕生』(秀和シ ステム),『教養』(小松左京・高千穂遙と共著,徳間書店)などがある. ブログ「くねくね科学探検日記」 http://blog.blwisdom.com/shikano/       「鹿野 司の“読書ノート”」 Copyright(c) 鹿野 司,2015  次号は松浦晋也さんにご執筆いただきます.どうぞお楽しみに! ※本コラムは本メール配信約1か月後を目安に裳華房Webサイトに掲載します. https://www.shokabo.co.jp/column/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【裳華房 分野別書籍一覧】 https://www.shokabo.co.jp/mybooks/0000.html 【正誤表などサポート情報】 https://www.shokabo.co.jp/support/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】[連載コラム]裳華房 編集子の“私の本棚”(第22回) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  編集部の有志が月替わりで,思い出の一冊やお薦めの書籍などを語ります. ─────────────────────────────────── ◆ 出版社に入社して驚いたこと ◆ ●『本を愛しなさい』(長田 弘 著,みすず書房)  編集者のπです.  長田弘さんの『本を愛しなさい』を読んで,ロンドンの小さな出版社の情景 に触れる機会がありました.ヴァージニア・ウルフの夫妻によって,かつて営 まれていたホガース・プレスという出版社です.  短編では,ホガース・プレスで助手として働くことになった少年の視点から, 出版社の日常が語られていて,温かな雰囲気に包まれています.   注文がくる.小包をつくる.郵便局に走る.手紙には返事を書く.広告   をつくり,ラベルを印刷し,批評のコピーを,書店におくる.本をきち   んと管理すること.新しい本の紙質やサイズを決めて注文すること.そ   のうえ,ひっきりなしに,原稿がもちこまれた.預かるにしろ断るにし   ろ,一仕事だった. (短篇「犬とリンゴと本と少年」より抜粋)  時代の差こそあれ,出版社の日常はあまりかわらないですね.違いは,もう 活版印刷で活字を組むことはなくなったということと,本が昔ほど売れなくな ったということくらいでしょうか.  この小品を読んでいて,おもわず自分が勤める出版社の日常を思い起こして しまいました.そこで今回は,出版社(裳華房)に入社して驚いたことを,つ らつら挙げてみようと思います. ・予想外に少ない人数で,がんばって本をつくっていること.ちなみに,数学  の本の担当編集者は2人.たくさんの数学書を出しているので,もっと人が  いるのかと思っていた. ・会社の建物が古く,歴史を感じること. ・しかも,地下に倉庫があって,倉庫に数学書(在庫)が厳然と積まれていた  こと.そもそも倉庫があることに驚いたし,なんだか秘密基地のような趣で  ある.いつもうす暗くてひんやりとしている. ・初めて編集部に足を踏み入れたとき,うず高く積まれた原稿や校正の紙の  「塔」を目にしたこと.原稿や本の洪水がときどき起こります. ・みなさん黙々と作業をしていて,編集部は大学の院生室のような静かな雰囲  気であること. ・静かゆえ,原稿を読みながらつぶやく声が聞こえること.「あれ?」「しま  った」「なるほど」などなど.ちなみに私の独り言は「ん〜〜」(煩悶)ら  しいです. ・意外にアナログな作業が多いこと.赤ペン,修正ペン,のり,鋏は必需品. ・学生時代は本の「版」や「刷」について意識したことはなかったが,新しい  版になるにつれ,誤植が細かく訂正されていき,本がより良いものになって  いくということ. ・(ひとにもよるが)純粋に本を読む時間が減ること.私は一日のおわりに風  呂場で湯船につかりながら小説を読む時間が至福のとき.現在の読書は夏目  漱石の『坑夫』.  読者のみなさまからすると「出版社はそんなもんでしょう」というお声が聞 こえてきそうですが,それはさておき.  最後に,上で述べたホガース・プレスについてご紹介しましょう.   ホガース・プレスはおおきな出版社ではなかった.レナード・ウルフ   (一八八○−一九六九)とヴァージニア・ウルフ(一八八二−一九四一)   の夫妻が,一台のペダル式のミネルヴァ圧盤印刷機からはじめた出版社   だ.じぶんたちで活字をひろって,じぶんたちの手で本をつくる.はじ   めはあわてて活字箱を引っくりかえしてしまい,hとnのケースをごちゃ   まぜにしてしまった.ヴァージニアが活字を組んで,レナードがまちが   いを正して,印刷機をまわす.そうして二人の短篇二つで,三十二頁の   本を百五○部つくった.それがホガース・プレスのはじまりで,一九一   七年春のことだった. (短篇「犬とリンゴと本と少年」より抜粋)  ちなみに,ヴァージニア・ウルフは『灯台へ』を世に送り出した有名な英国 の女性作家です.彼女は作家として小説を書きながら,自ら活字をひろって原 稿を組んでいたようです. ●『本を愛しなさい』  長田 弘 著/四六判/144頁/定価(本体2200円+税)  2007年4月発行/みすず書房/ISBN 978-4-622-07289-8  http://www.msz.co.jp/book/detail/07289.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【裳華房のお役立ちサイト】 ◎ 自然科学系の雑誌一覧 −最新号の特集等タイトルとリンク−(1/28更新) https://www.shokabo.co.jp/magazine/ ◎ 大学・研究所・学協会の住所録とリンク https://www.shokabo.co.jp/address.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【5】[連載コラム]裳華房の“古書”探訪(第25回) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  弊社の起源は,江戸時代,伊達藩の御用板所であった「仙台書林 裳華房」 に遡ります.ここでは,科学書の出版に力を入れ始めた明治時代後期代から昭 和時代に刊行された書籍の中から毎回1冊ずつ取り上げて紹介いたします. 【バックナンバー】 https://www.shokabo.co.jp/oldbooks/index.html 【裳華房の歴史】  https://www.shokabo.co.jp/history.html ─────────────────────────────────── ◆ 「偉人史叢」シリーズ[明治29〜33年]  今回ご紹介するのは,自然科学とは離れますが,明治28年(1895)に仙台か ら東京に移転した裳華房が初めて手がけたシリーズ,「偉人史叢」です.臨時発 刊や第2集を含めると全部で30巻を越え,裳華房の礎となったシリーズです.  当時の偉人伝の多くは和漢の学者が偉人の残した書などを読み解くものが多 く,その偉人の置かれた時代状況や行ってきた業績が(読者には)なかなかわ かりにくかったようで,第1巻の巻末に収められた「發刊の趣旨」をみると, 新進の文壇人を起用し「斬新雄快」な筆を借りて,「其人と其時代に傳へ、以 て社會を益せんと欲す」という,社主・吉野兵作氏のなみなみならぬ思いが伝 わってきます.  明治29年(1896)2月に発刊された「偉人史叢」第1巻は,長田権次郎執筆に よる『林子平』.林子平は江戸出身ですが仙台に住み,『三国通覧図説』『海 国兵談』などを著し,海防の重要性を訴えました.  シリーズの最初に林子平を取り上げたのは,想像になりますが,現存する林 子平の手紙の中に,裳華房の伊勢屋半右衛門に古本の引き取りについて相談と の記述があり(小井川百合子「仙台の町板について」より),林子平と裳華房 に縁があったことによるのではないかと思われます.  折よく時代状況にあった──日清戦争の勝利によって得た遼東半島をロシア ・ドイツ・フランス三国の干渉で清国に返還させたことなどから,富国強兵が 急務とされ,多くの国民が民族意識を強くもった──ことと,平易でかつ精緻 な記述が受け入れられたためか,正確な記録は残っていませんが,かなりの部 数が売れたようです(1冊20銭).  第2巻は蒲生君平,第3巻は伊藤仁斎,以後 平田篤胤,平野国臣,平賀源内, 大塩平八郎…と続き,臨時発刊として近藤重蔵,柳沢吉保,由井正雪,明智光 秀,達磨…などをはさみながら,明治31年に発刊された第20巻の高山彦九郎, 第21巻の石川丈山をもってひとまず終了.  同年6月から第2輯(集)として,豊太閤(豊臣秀吉),蜀山人,山鹿素行と 大石良雄(大石内蔵助)など5巻を発行.最終刊(第2集第5巻)の発行が明治 33年ですので,裳華房が自然科学書の発刊に力を注ぎ始めたのと入れ替わるよ うにシリーズが終了したことになります.  シリーズの中で,いわゆる理系関係では,本草学などの平賀源内(第6巻) や医者の高野長英と渡辺崋山(第13巻)などがあります.  第1巻『林子平』,第16巻『織田信長』,第19巻『上杉謙信』をはじめ,い くつかの巻については国立国会図書館のデジタルアーカイブにて一般に公開さ れています. http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/781893 ◆ 「偉人史叢」シリーズ (21巻,臨時発刊6巻,第2輯5巻)   菊判/150〜200頁前後/明治29年〜明治33年/裳華房 ※記述の誤りなど、お気づきの点がありましたら m-list@shokabo.co.jp まで  御連絡ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【6】お知らせ&編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◇お知らせ ─────────────────────────────────── 1.「大学・短大・高専用教科書のご案内」   https://www.shokabo.co.jp/text.html 2.【講義担当の先生方へ】講義用 教授資料のご案内   https://www.shokabo.co.jp/textbook/text-tm.html 3.訂正表・正誤表や新しい演習問題など「書籍のサポート情報」.   https://www.shokabo.co.jp/support/index.html ─────────────────────────────────── ◇編集後記 ───────────────────────────────────  先月配信の1月号は,編集後記の最後の部分が切れてしまっていたようで, 申し訳ございませんでした.  東京開業120周年の記念事業の一つである電子書籍の配信では,昨年9月に 刊行した駒崎伸二著『フリーソフトで作る バーチャルスライドと3Dモデルの 作成法』の電子書籍が,すでにAmazon Kindleや楽天koboなどで配信されてい ます. ◇ Amazon Kindle http://amzn.to/1zjg55l ◇ 楽天kobo http://books.rakuten.co.jp/rk/655e0438bd643b34ab60f7362d88259b/  電子書籍ストアのBookLiveや紀伊國屋Kinoppyなどでも配信される予定です. 固定レイアウト形式ですので,小さな端末では読みにくいと思いますが,本文 の図版を【カラー】で収録しています.是非ご購入・ご一読いただければ幸い です.                                (TK) ─────────────────────────────────── 次号は2015年3月4日の配信予定です.どうぞお楽しみに! \\(^o^)// ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ Shokabo-Newsの配信停止・アドレス変更は下記URLよりお願いします ★ https://www.shokabo.co.jp/m_list/m_list.html メールマガジンのご意見・ご感想は m-list@shokabo.co.jp まで. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 自然科学書出版 (株)裳華房 〒102-0081 東京都千代田区四番町8-1 Tel:03-3262-9166 Fax:03-3262-9130 電子メール:info@shokabo.co.jp URL:https://www.shokabo.co.jp/  Twitterアカウント:@shokabo 【個人情報の取り扱い】 https://www.shokabo.co.jp/policy.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(c) 裳華房,2015      無断転載を禁じます.



         

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